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REAL LUCHA LIBRE La Leyenda 観戦記(16.1.17日 さいとぴあ博多)

REAL LUCHA LIBRE La Leyenda 観戦記(16.1.17日 さいとぴあ博多)

本年最初の観戦はいろいろ考えた末にレアルルチャにした。決め手はネグロ選手からチケット買うと、ネグロ選手の入場テーマCDがついてくるから。テーマ曲収集マニアとしてはこれは飛びつかざるを得ない餌だった。

だが、2日前から体調不良が重なり、観戦コンディションは最悪。食欲不振も重なり大ピンチ!だが、仕方ないので全身に湿布貼ってそのまま九大学研都市まで。まあ、あまり臭わないタイプだから問題ないとは思うが、これもプロレスのためだ。たまたま近隣に座った人は運が悪かったと諦めてもらうほかない。

レアルルチャのいいところは学校としての体裁は実にキチンとできている点にある。たとえば公式ルールで頭部から落とすパイルドライバーを禁止していたりするように安全配慮もしている。

また、たぶん徒弟制度にありがちな「盗んで覚える」式の指導ではなく、あますところなく先生方が自分の技術を教えているんだな、というのは生徒の試合をみているとよくわかる。ただ、それはルチャの技術に限られるため、スタイルの違うプロレスには対応できない場合も見られるわけで、ここはレアルルチャから門下生がたくさん羽ばたいていくにあたり、課題の一つになるだろう。

今のところ頭一つ抜けているヴァンヴェール親子やユーセーみたいな逸材がガンガン他団体にでて、コネクションを作るのも大切だし、今回のようにグレートカブキというレジェンドを目の当たりにすることで、学ぶこともたくさんあるはず。そう考えていくと、レアルルチャは理想の学校の一つだな、と思うのだ。

大会そのもので言うと、オープニングアクトでメキシコ舞踏があったり、入場式でメキシコ国旗掲揚があったり、雰囲気はなかなかいい。でもメキシコ国旗がいつも舞台上にあってライティングもされていないんで、いまいち国旗に向かって起立していても雰囲気がでないのだ。このあともそうだったが、今大会は演出面での課題がたくさんでてきた大会になってしまった。
第0試合 キッズクラスエキシビション(2ラウンド引き分け)

毎回楽しみにしているキッズのエキシ。ルールはアマレスからポイント制を引いた形。2ラウンドで行われる。前回同様男の子と女の子の対決だったけど、びっくりしたのは女の子の半分しかなかった男の子の背丈がぐっと大きくなっていたこと。そして技術的にもタックルをかえしたり、下になっても手かすを絶やさないでレベルアップをはかっていたことだった。

しかし、経験上優位に立つことが多かった女の子は積極果敢に攻める。先手は常に女の子。でも以前ほどタックルが決まらない。それは以前だとただカメになるしかなかった男の子が下になっても冷静になっていたことが大きい。でも女の子も進化していて体重移動やポジションの変化で攻めにバリエーションをつけていた。多分メンタル面でも選手向きなんだと思う。レアルの強みはジャックやユーセーの下できちんとした後進が育っていることでこれを見に来ただけでも十分チケット代を払った価値があったと思う。また、確かなレスリングを校長はじめ教師陣がきちんと教えているのも好感が持てた。

ただ、試合前に司会が「ワンフォールなんであっという間に決着が付きます」とかいう余計な説明をしていたがあれはいらなかった。そもそも選手間に相当な実力差や階級差があればまだわからないが、ワンフォール勝負がつくこと自体、アマレスではあまりお目にかかれないのだから、それを知らないで言っていたとしか思えない。
結果は前回同様引き分けだったけど、今回のほうがずっと内容が濃い。楽しみなふたりである。これがユーセーやジャックを脅かすようになるとさらに面白くなるんだけど。
第一試合 レレボス・ディフアネンセ11人参加勝ち残り時間無制限スペシャルマッチ

 

ユーセー・エストレージャ、ヴァンヴェール・ジャック、ブラックハンターフレイム、X o

dajima、ETO、武丸、エル・バリエンテ、サミー・グアポーテ、ブラックハンターストーム、ベスティア・マルバダ、アグー(ジャックの勝ち残り)

 

耳なれない試合形式だが、みたままいうと①ルード軍とリンピオ軍にわかれている。➁リング内の試合は1対1。リング内に2名いたらリンピオ同士、ルード同士の対決もあり。➂よって自分以外の10人はすべて敵。④ギブアップ、ピンフォール、リングアウトで失格。➄勝ち残りが勝者・・・という多人数タッグとバトルロイヤルを足した感じの試合形式。なんで普段組んでる者同士でも敵になったり、普段戦っているものが組んだりという図式がバトルロイヤルではなくタッグマッチの中で行われていたのは結構新鮮だった。

だいたいこれだけ人数がいて、しかも皆マスクマンとなればキャラも濃い。普通にしていたらあまり目立てないのだ。細かいことだが、レアルの選手は舞台に登場した時はアクションやパフォーマンスをするけど、リングインしたら普通に立っているだけというケースが多い。あれでもマリーノやネグロはひとパフォーマンス加えることで、観客に印象づけをしている。

舞台でやるアピールは悪くはないが、ロープが邪魔して、客席からはよくみえないのだ。客席をハイタッチして回るのは一つの手段だが、あまり全員がやりすぎてもよくない。入場だけでも工夫するべきところは山ほどあるのがプロレスの奥深いところなのだ。

ちなみに大人9人に小学生2人の編成だが、子どもだからというのはハンディにはならない。なぜならユーセーとジャックはレアル随一の実力者なのだ。彼らが見せるルチャのムーブはもはやうっとりするくらい素晴らしくてスピーディー、かつ的確で見るたびにため息が出る。この試合を牽引していたのも実は彼らである。もちろん要所は先輩プロのアグーが見せ場作りもしていたけど、サポートしていた程度。

それだけユーセーとジャックの実力は際立っていた。本当にすえおそろしい小学生たちである。対する大人サイドだが、お笑い担当みたいになっているETOは例外として、これといって目立てた選手はなし。まあ、デビュー戦のふたりは仕方ないが、やはりほかのメンバーはまだまだ工夫が必要だろう。

試合も結局ジャックとユーセーが残り、大人を蹴散らしていくのだが、これが不自然にみえないくらい爽快なのだ。約20分の試合をふたりで回したユーセーとジャックの実力者ぶりが際立った一戦だった。

 

第二試合 ○林田伸一対×SHOKI

前回大会をみていて密かに気になっていたのが、SHOKIである。実はiPhoneのユーザー辞書にSHOKIの名前をいち早く変換できるようにすべく即登録したくらいだから、気になる度合いが違うのがわかるだろう。

そもそも本場のルチャでシングルが少ないのは承知の上であえて校長に難くせつけて「シングルがみたい」と駄々こねたのは、SHOKIがシングル向きの逸材ではないかと踏んでいたからだ。そしてやはりどっちかといえばタッグ向きではない上に、ルチャドールですらない林田はSHOKIの対戦相手としては適任である。

果たして試合は序盤から緊張感が漂う好展開。腕を取り合うだけで5分経過とかマニア的にはたまらない時間である。あれはゾクゾクしたなあ。確かにアラはあるんだけど、SHOKIは間違いなくネグロのあとが追える逸材だった。

露骨なテーピングした林田の肩を躊躇なく攻め、しかもそれを観客にアピールしてブーイングをもらう姿はとてもデビューしたてとは思えない。テクニック的に林田に肉薄するのはさすがに無理があるので、できる範囲で最大限の表現を目指すSHOKIの姿勢には非常に好感が持てた。

だからこそ林田から提案された『10番勝負』の申し入れをSHOKIが受けてくれたのは嬉しかった。林田のGT-R縁つながりで新泉や久保、あるいは現博多ライトチャンプで前回大会にも参戦したMIKAMIなどぶつけてみたい選手はたくさんいる。今後10番勝負を経てSHOKIが大きく育てば、レアルの屋台骨ば確実に太くなる。10番勝負はSHOKI自身にも、レアルにとっても試練だけど、価値ある10番勝負にしてもらわないといけない。SHOKIにはそれだけの期待がかけられたのだ。

 

第三試合 3vs.3時間無制限一本勝負

×ドラゴン・ユーキ、ゼファー、ラウザ対サガン虎、RAMMA、○ウラカン・マリーノ

リンピオ同士の6人タッグということだが、この試合のポイントはマリーノが難敵相手にどれだけ頑張れるかなんで、ぶっちゃけサガン虎やRAMMA教頭はそえものでよかったと思う。しかし、なぜかサガン虎の出番が多く、ユーキが気を利かせてルードモードでマリーノを挑発しているのに、マリーノがそのお膳立てに乗り切れない。だからサガン虎やRAMMA教頭が逆に中途半端に目立つ羽目になってしまった。

しかし、教頭はまだしもサガン虎はそれほど使えないため(弁明するわけではないが、今回のサガン虎は頑張ってはいたと思う)、やはりユーキサイドが圧倒的すぎる感じになってしまった。

その上マリーノが薄氷の勝利を拾うというなんとも言い難い結末に、ユーキ、ゼファー、ラウザが試合後マリーノたちをボコボコに。なんかこれっていつもゼファーがブラドリとかにヤラレてる展開っぽいのだが、拾い物なのはゼファーがルードモードで試合していて、実にイキイキしてみえたこと。ナンチャッテヒールのKAZEよりよほどルード向きなんじゃないかと思えた。いっそブラドリのリーダーも彼に譲って師匠より先に隠居でもしてもらったほうがいいかもしれない。

第四試合3vs.3時間無制限一本勝負

ザ・グレートカブキ、KAZE、×ヴァンヴェール・ネグロ対○磁雷矢、アズール・ドラゴン、スペル・ボンベロ

今回は大会そのものの演出の不備が全てを台無しにしていたが、この試合は最たるもの。ルード軍の入場をカブキにあわせて暗転していたのはいいが、カブキの入場テーマ「ヤンキーステーション」がカバーバージョンだったのだ。せっかく影武者とダブルカブキで登場する凝り様も全ておじゃん。テーマ曲の入手先なら私をも凌駕する佐賀プロのコレクションから拝借すればすむ話で、これは完全にできる可能性を考えずにカバー曲でごまかした、ととられても文句はいえまい。仮にカブキ本人がカバー曲でOKしても、入場テーマ曲に関しては、拘りがないと、見ている側の思い入れも台無しにしてしまうのだ。

前回もこの学校に欠けているのはプロデュース能力だと書いたけど、試合内容を演出が台無しにしていくのならば、むしろ普通に淡々と試合してもらった方がマシだったと思う。

カブキとアズールの裏切りもあまりにみえみえで同士討ちが重なりルード側についたアズールにしても普段が、ダークサイドにいるんだから、新鮮な驚きもないし、カブキがアズールの裏切りを受けて、磁雷矢に加担するのもみえみえすぎた。勘ぐれば数合わせでカブキの立場をコロコロ変えたにすぎないのではないか?むしろ東洋の悪魔と呼ばれたダラス時代のように試合が終わるまではルードでいてほしかった。

勝ち残り式の時間無制限という変則タッグマッチだから、磁雷矢が数に頼むブラドリに敗北したあと、カブキが試合後ブラドリを蹴散らして校長を救出し、溜飲を下げた方が同じ裏切るにしても盛り上がっただろう。いや、そこはむしろボンベロにその役を任せて、バッドエンドに見せかけてのハッピーエンドの方がよほどよかった。だが、ボンベロに実戦経験が乏しいため、そこまで任せられないという事情すら垣間見えた。

おまけに散々「(レアルのタッグルールは)2人以上が勝たないと試合が終わらない」といっているのに、アナウンスが結果をフライングしてしまうなど、あってはならない事態まで勃発。スタッフがルール把握してないんじゃ、お客にも伝わらないだろう。

やりようによっては盛り上がるはずの演出が足を引っ張るなんて、プロレスでは一番みたくない展開である。加えてマイクの苦手なはずの校長が締めのアピールで次回大会の予告がスクリーンにでる…はずが、スクリーンの字が小さすぎて、ロープに邪魔されてお客には見えないという凡ミスが!

校長がマイクもった時点で嫌な予感しかしなかったのだが、結局校長が次回大会に山路闘破役・筒井巧さんの来場をマイクで告げるはめに。しかし、会場にいるのは「世界忍者戦」の方のジライヤは知らない人たちが大半なために、反応も微妙。そりゃ仮に演出が成功していても、喜んだのは私くらいだと思うぞ。あれをサプライズだと思って大々的に発表した校長がイタイオタクにしか見えなかった…。同世代のレジェンドにこんなこというのは失礼だとは思うけど、あれは痛かったとしかいいようがない。

それでもなんかいいところを探すとしたらネグロの何気ない所作に重みが出てきたことくらいか。特にヘッドバットやストンピングといったプロレスではありふれた技の一つ一つがキチンとできていて、なおかつ迫力ある伝え方ができていたのは救いとしかいいようがない。ルードとリンピオで立場は違うが、ボンベロはネグロのこういうところは勉強して自分のものにしていくべきだろう。

結局この日も第0試合が一番よくて順送りでメインがすべるという、レアルクオリティを見せられてしまった。いっそユーセーやジャックに任せた方が立派な大会になりそうなんだけど、それはたぶんさすがにできないだろうなあ。いろんな意味で。でも正直演出が選手の足引っ張ることはしちゃだめだと思う。

少なくともネグロ以外に喋れるパフォーマーは欲しいなあ。いや、それ以前にほとんどの選手が校長の劣化コピーになりかねない現状からなんとか奮起してもらいたい。前回より改善された点もたくさんあるだけに、もったいない。今回新しく浮上した課題は、単なる凡ミスにすぎないのだから、これはプロデュース面や運営、演出面でさらなる工夫がいると思う。それも相当覚悟した上で。

もしも、レアルサイドが聞く耳を持ってくれているのであれば、次回大会にこの文句たれのおっさんの意見が微々たる形でもいいので生かされてくれることを切に願うばかりである。

 

-プロレス観戦記