*

DDTスーパースターレーン2015観戦記(2015.12.13日 博多スターレーン)

DDTスーパースターレーン2015観戦記(2015.12.13日 博多スターレーン)

今年は春の小倉、夏と秋のスターレーンしかDDTがきていなくて、夏の大会はがむしゃらとかぶってしまったため、今年最初で最後のDDT博多大会になってしまった。昨年スターレーン全面開放を宣言した大社長だが、正直10年もたってやっとかよという気持ちのほうが強い。そしてやっぱり映像は今回もなし。入場ゲート設置と、メインがKO―Dの無差別シングルというところを差し引いてもやっぱ物足らない感じはする。試合数は増えたので多少ビッグマッチ感はあったけどちょっと惜しいなあという感じだった。

▼ダークマッチ キング・オブ・ダーク選手権試合 60分一本勝負

<王者>○岩崎孝樹 vs 鈴木大●<挑戦者>

3分36秒 片エビ固め

※キャプチュード。岩崎が6度目の防衛に失敗、鈴木が第7代王者となる。

結果的にはキングオブダークの試合にはなったけど、ネタ抜きにしてビッグマッチの第一試合を若手が担当するのは実にオーソドックスである。岩崎は身体もできているし、なんでキングオブダークのベルト持っているのかがわからないが、ネタ抜きで試合を見たい気がした。

結果は鈴木が負けて新王者になったわけだが、散々GMが「絶対負けるなよ!」と念押しされていたのは完全にフラグになっていた。

だが、まあ岩崎はともかく鈴木が顔と名前を売るには十分だと思う。

▼アイアンマンヘビーメタル級選手権試合

<王者>●赤井沙希 vs チェリー○<挑戦者>

18時11分 横入り式エビ固め

※赤井が防衛に失敗、チェリーが第1066代王者となる。

オープニングの挨拶をしようとした赤井の背後にいきなりチェリー登場。そのままスクールボーイで丸め込むと3カウント入ってしまった。勝ち名乗りを受けるチェリーはまんまとベルトをもって脱兎のごとく逃走。事情を把握した赤井が追いかけるが逃げ足ではチェリーのほうが一枚上手だった。

▼オープニングマッチ 30分一本勝負

○マサ高梨&梅田公太 vs 久保佑允&中津良太●

11分2秒 エビ固め

※タカタニック

オープニングバウトはバサラ対新加入の梅田を加えた酒呑童子の対決。久保はさすがに九州プロレスにいただけあって知名度も抜群。これだけできる選手を手放すなんて、本当にもったいない。しばらく見ないうちに若さより老獪さを前面に出すプロレスをするようになっていた。白波時代を知るものとしては感慨深い。

一方で対角線にはこれまた曲者の高梨がいるわけで、この試合を引っ張っていた。しかし梅田といい、中津といい若手の層が厚いのはDDTの大いなる強みではあるし、彼らが伸びていけば、竹下や遠藤ですら追われる立場になる。

そういう日もそう遠くない気がする。DNAの選手たちは毎回毎回見るのが楽しみである。

▼第二試合 アイアンマンヘビーメタル級選手権時間差入場バトルロイヤル 時間無制限勝負

【試合経過】

①<王者>○チェリー(1) vs 伊藤麻希●(2)<挑戦者>

2分31秒 横入り式エビ固め

②<王者>●チェリー vs大石真翔○(3)<挑戦者>

2分53秒 直伝トルネードクラッチ

※チェリーが防衛に失敗、大石が第1067代王者となる。

③<王者>●大石真翔 vs ヴァンベール・ジャック○(6)<挑戦者>

5分40秒 エビ固め

※丸め込み。大石が防衛に失敗、ジャックが第1068代王者となる。

➃○福田洋(7) vs ヴァンベール・ネグロ●(5)

6分50秒 オーバー・ザ・トップロープ

⑤<王者>●ヴァンベール・ジャック vs 福田洋○<挑戦者>

7分57秒 腕ひしぎ逆十字固め

※ジャックが防衛に失敗、福田が第1069代王者となる。

⑥○KENSO(9) vs ヤス・ウラノ●(4)

11分1秒 オーバー・ザ・トップロープ

⑦○赤井沙希(8) vs KENSO●

11分28秒 オーバー・ザ・トップロープ

⑧<王者>●福田洋 vs 赤井沙希○<挑戦者>

12分29秒 腕ひしぎ逆十字固め

※福田が防衛に失敗、赤井が第1070代王者となる。

オープニングで赤井からベルトを強奪したチェリーが一番手で登場。対するは九州のアイドルというよりもはや女子レスラー化している伊藤麻希が登場。「本当にやるのか?」と念押しする松井レフェリーに「大丈夫」と気丈に答える伊藤をチェリーが急襲。
本当に若い同性には躊躇しないキャラ作りが徹底していてみてて面白い。その次にでてきたまこりんも、こういうのはよくわかっているので、伊藤をボディスラムで投げたおかえしに、伊藤お得意のヘッドバットをくらう。

中盤はヴァンヴェール親子が大活躍。特にまこりんをピンフォールしたジャックはわずかの間に1068代目王者になるという偉業を達成!これはすごい。福田の大人げない攻撃であっという間に転落はしたものの、前半戦のハイライトといっていい快挙だった。
ひととおりで終わったかとおもいきや「TOKYO DRIFT」がかかってKENSO登場。試合一切無視でエル・アギラ・インペリアルを決めて周囲にアピール。この辺もまったくブレがない。しかしヤスをオーバーザトップロープで落とすと、隙を狙っていた赤井がKENSOを転落させた!

これで福田に勝てば返り咲きになるが、福田ものらりくらりと赤井をかわす古典的アメリカン殺法でけむにまく。しかしジャックをきってとった腕ひしぎを赤井にやり返されあえなくギブアップ。無事赤井が王座返り咲き・・・かと思いきや入場ゲートでチェリーがまたしても赤井に襲い掛かる。しかし今度は2カウント。脱兎のごとく逃げるチェリーを追う赤井。いやめまぐるしい試合だった。

▼第三試合 30分一本勝負

○相島勇人&アズール・ドラゴン vs 佐々木大輔&宮武俊●

11分56秒 片エビ固め

※垂直落下式ブレーンバスター

ちょっと見ないうちに宮武が完全にクスリなしでいっちゃってるキャラクターになってしまっていた。これに曲者佐々木がいるんもんだからどうしたものかと相島もアズールも最初は様子見。
宮武はキャラを完全に自分のものにしているのだけど、要所要所では反撃を許すこともあり、そこを飼い主?の佐々木にこづかれていた。まあでも百戦錬磨の九州チームを相手にこのキャラを貫き通すというのもある意味すごい。肉弾戦に応じてもひけをとらないのはさすがだなと思う。

相島も近年は地元での試合数が減っているのだけど、コンディションは上々。一時痛めていた右ひじも特別悪そうには見えなかったし、試合数限定でならまだまだいけそうな気はする。そしてどこへ入ってもきっちり仕事をこなすアズールは、目立たないけどいい仕事をする選手。今年は笹栗88のベルトもまいて実績をつけたので、来年はどこかのベルトを狙いに行ってもらいたいものだ。

▼第四試合 30分一本勝負

○石井慧介&高尾蒼馬 vs 樋口和貞&松永智充●

10分49秒 片エビ固め

※高角度ダブルアームDDT

チームドリフにDNA一番頭の樋口が挑むこの試合、やはり参謀に松ちゃんがいるのはでかい。ディック東郷の流れをくむレスリングマスターであり、コミカルからシリアスまでなんでもこなす松ちゃんのサポートがあればドリフが相手といえど、勝利もありえるかなとおもったが、もはや中堅から頭一つでているドリフは年齢の割に実に老獪。まさか松ちゃんの土俵で堂々と勝負できるとは…こうしてみてると樋口のタッパと自力だけではちょっと勝ち目が薄い。
確かに上で使われるだけの素材ではあるのだが、ドリフの牙城はそうやすやすとは崩せない。数年前なら高尾が狙われるところだろうが、近年の6人タッグ戦線では自ら3カウントを奪うシーンも多くなってきているので、もはや穴ではなくなっている。この試合でも高尾が樋口を翻弄するシーンが数多くあったし、場外戦でも石井がリードするなど、頼もしさが出てきたドリフが目立つシーンが多かった。

今の時点では実力差は明白だけど、世代的にドリフに火をつけられるのは樋口あたりになってくるはずなんで、来年はぜひ「あわや」と思わせるシーンをみせてほしい。

▼第五試合 KO-D6人タッグ選手権試合 60分一本勝負

<王者組>高木三四郎&大鷲透&○平田一喜 vs 男色ディーノ&スーパー・ササダンゴ・マシン●&ばってん×ぶらぶら<挑戦者組>

12分51秒 奇跡を呼ぶ一発逆転首固め

※第21代王者組が初防衛に成功。

博多初のビッグマッチであるならば通常の大会とは差別化をしてほしいのだが、それは入場ゲートを作るとかではなく、映像を使ってほしいということなのだ。

今はネットで首都圏の様子もわかるし、棚橋のパワポは全国ニュースにもなった。ならばやはり博多で、せめて元祖ササダンゴのパワポだけでも見たかったのは正直なところ。博多ではわざわざササダンゴのパワポイベントまでやっておいて、本編でやらないというのは本末転倒な気がする。

「口頭で失礼します」と事前にマイクでプレゼンはしたんだけど、やはり数値を交えたネタでは喋りだけだと伝わりにくい。

いくらK-OD無差別をやっても、映像がないと後楽園以下に見えてしまう。堅実なのはわかるが行き過ぎるとケチくさくみえる。素晴らしい大会だったからこそ、あえてそこはいっておきたい。

まあ、試合自体は例によって平田がダンスできるかどうかが焦点になる展開になり、王者が無事防衛したのだが、おさまならい大家帝国は、パートナーをかえて再挑戦しようとするが、王者チームは無視して帰ろう…としたところを何とKENSOが急襲!なんと大家帝国入りしてまで、6人タッグベルトに挑戦するという。

悪く言えば節操がないけど、よく言えばアグレッシブなKENSOの姿勢は実にフリー向けとも言える。やはりWWEで培ったスキルは伊達ではない。今後の展開が楽しみだ。

▼第六試合 DDT EXTREME級王座次期挑戦者決定戦 30分一本勝負

●アントーニオ本多 vs 彰人○

14分10秒 腕サソリ固め

※12月23日後楽園ホール大会のDDT EXTREME級選手権試合は<王者>ケンドー・カシンvs彰人<挑戦者>に決定。

もうこの2人なら通常の大会でなら、メイン扱いでいいと思う。アメリカンクラシックスタイルのアントンと、見た目より堅実なファイトをする彰人がかみ合わないはずがない。カシンのベルトへの挑戦というストーリーは正直どうでもよかった。

とにかくお笑いを封印したアントンは強い。強すぎる。しかし彰人もまたひかない。春に佐々木大輔とフルタイム闘った時のように、この日もお互いのスキルの全てをぶつけて、勝ちにきていた。こういうプロレスが全体の中に一つでもあると、大会が引き締まる。

そして後半にタイトルマッチとこの試合を持ってきたことに、DDTが試合内容でも勝負に出ているといっていいだろう。
本当に見ごたえのある試合だったし、彰人が挑戦者でよかったなと個人的には思える試合だった。

▼セミファイナル 博多名物ユニット混合スペシャルタッグマッチ 30分一本勝負

HARASHIMA&●坂口征夫 vs 入江茂弘&竹下幸之介○

19分11秒 ジャーマン・スープレックス・ホールド

昨年の12月大会ではユニット対抗の4WAYで今回はユニット混合のタッグマッチ。今後のユニットの行方を占うのかなと思いきやそうではなく、個人の思惑が交差する試合になっていた。というのも無差別のベルトをとられた前王者・坂口と、やはり前王者になるHARASHIMA、入江。そしてK-OD唯一未体験の竹下。このなかでピンを取ったものが次期挑戦者になるという形でもよかったと思う。団体内でユニットが変わりやすいDDTやドラゲーではこういうシャッフルしたカードはそれほどお得感がないので、スペシャルと言われてもという感じはしていた。

この中ではやはり竹下と坂口の絡みが特に見ごたえがあった。フロントネックロックを背筋で投げ捨てたシーンも強烈だったし、相手の関節やキックに対して真っ向からプロレス技と若さで勝負に出ていたことは大いに評価できると思う。
関本のような体形ではないのでわかりにくいけど、やはり陸上でもそこそこの実力をもつ竹下の底力には舌を巻かざるを得ない。あの背筋力は大きな魅力だし、ラストのジャーマンもほぼぶっこぬき式で決めていた。こういうタイプはなかなかいなので、試合後本人もアピールしていたけど、シングル挑戦への機は熟したとみた。

▼メインイベント KO-D無差別級選手権試合 60分一本勝負

<王者>○木高イサミ vs 遠藤哲哉●<挑戦者=ドラマティック・ドリーム・じゃんけん2015優勝者>

21分59秒 エビ固め

※勇脚・斬。第55代王者が初防衛に成功。

せっかく博多初のビッグマッチで、チャレンジャーが遠藤というのは、若干引きが弱い感じもした。しかし、竹下の陰にかくれがちだが、キャリア4年で団体のメインを任せられるというのは、異例中の異例には違いない。

だが、出世というには怪我に泣かされるわ、竹下は急成長するわ、DNAの台頭はあるわで内心安穏とはしていられなかっただろう。そんな遠藤とドロップキックでバイトを共にしたイサミがチャンピオンとして対峙している。これも計算できないプロレスの面白さだと思う。

辛酸をなめたという意味ではイサミの右に出る選手はそうそういない。ヤンキー2丁拳銃としても、個人としても錚々たるタイトル歴がありながら、順風満帆とはとても言い難いプロレス人生を歩んできた。そんなイサミだからこそ、遠藤の全ての力を受け止め、その上で勝つ試合ができたのだろう。

この試合が遠藤の現時点でのベストバウトになるのは疑いない。しかしまだ今の時点ではイサミに頼る部分もかなりある。逆の立場になってイサミのように、相手の力を引き出すスキルはまだ遠藤には足りていない。だから現時点では挑戦者どまりなのだ。とはいえ、近い将来王者遠藤対挑戦者イサミという図式が実現しないわけではないだろう。

その予感は十分に感じられた。試合後、共に「楽しかった」と、お互い土下座して礼をかえしたように、本人たちにもお客の側にも満足のいく試合だった。やはりプロレスは映像云々より試合内容が1番なんだな、と思い知らされた素晴らしいタイトルマッチであった。

とはいえ、やっぱスクリーンはもってきてほしかったし、会場に来る人すべてが、いきさつを予習しているわけではないので、せめてビッグマッチの時くらいはぜひ映像を流してほしい。惜しいというか、堅実すぎて裏目に出たかなという気がしたので。

 

-プロレス観戦記