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プロレス居酒屋がむしゃら 祝15周年記念イベント『GAMSHARA MANIA'2015』~TEAM凱 vs GWO全面対抗戦~観戦記2(2015.11.1 北九州芸術劇場大ホール)

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▼全面対抗戦 ハードコアデスマッチ!!(30分1本勝負)

⑦七海健大 & ○佐々木貴 vs ×鉄生 & 葛西純

(16分24秒)

このところ、ほとんどの試合でプロに絡まされている七海健大と、その七海健大にベルトを取られた鉄生がGAM1以来の再激突。しかもパートナーが殿と葛西という申し分ない相手だが、なぜかこの試合だけハードコアルールになっている。プロの2人はこの道のエキスパートなんで任せて安心…というわけにもいかないのが困り物である。

心強い味方がそれぞれについているということは、鉄生に対しては殿が、健大に対しては葛西が高い壁として立ちはだかるわけだ。正直因縁に気を取られて試合ができるような敵ではない。

しかも、芸術劇場という普段はあまり縁がなさそうな(失礼)自由すぎるプロのふたりにしてみれば、逆に暴れ甲斐があろうというもの。

案の定最初から大乱闘でスタートした試合はそのまま客席になだれ込んでいき、九州では珍しい二階席バルコニーでの乱闘まではじめてしまった。これぞFREEDAMS魂!二階から落ちそうで落ちないハラハラ具合は、この会場でなければなかなか見られない。このあたりの見せ方は、さすがに殿も葛西も心得ている。

そしてリングに戻ってからもパイプイスが飛び交う乱打戦。毎度思うことだが、パイプ椅子を設置してその上に正確に相手を測ったかのように落としていく葛西は、本当に後ろに目があるかのような素晴らしいコントロールをみせる。

健大も鉄生もプロとあたるだけの力がある素材だが、こうした細かい匠の技で畳み掛けられるとどうしても旗色が悪い。本来だと上から目線で相手にかかってくる鉄生も、健大同様下から食らいつく以外に術がないというほかなかった。それくらい殿と葛西は卓越していたし、相手が社会人だからといって一切手抜きはしなかった。

まさにプロレスを愛するものにプロもアマま関係ないという言葉を試合で体現してくれたのが、本当に嬉しかった。芸術劇場サイドはいい顔しないかもしれないけど、いつかFREEDAMS単体の芸術劇場大会もみたくなってきた。

試合後に殿が健大と鉄生に「いつでも挑戦受けてやるぞ!」と激を飛ばすと、健大が「ベルトを巻いて必ず挑戦しますから待っていてください!」と返礼。

しかし、対殿ということに関しては現時点の王者・林がすでに先鞭をつけている案件。果たして殿への挑戦権を得るのは誰になるのだろうか?

▼GWA Jrヘビー級選手権試合(45分1本勝負)

⑧[挑戦者]×トゥルエノ・ゲレーロ(TEAM凱) vs ○YASU(GWO)[王 者]

(17分07秒)

今春デビューして瞬く間にタイトルチャレンジャーの位置に上り詰めたゲレーロはまさに規格外の新人である。ベルトはTOSSHIからYASUに移動したけれど、狙うベルトがそこにある事実はゲレーロにしてみれば変わらない。

だが、誰が巻いていてもベルトがとれるならことは簡単なのだが、そうはいかない。関節技と打撃に長があるTOSSHI、飛び技のスペシャリストYASU、キャリアとインサイドワークのキッドとざっとみても全員タイプが違う。

一見すると一番リスキーな技を多く使うYASUが狙いやすいように思うが、実は誤爆率はとても低い。同じような技で試合するプロよりも、技の成功率も命中率も高いのだ。

そうすると同じ飛び技で勝負するより、YASUの翼をもぐ戦法が効果的なんだが、そこはメキシコでルチャを会得したゲレーロにしてみると、飛び技もジャベ(メキシコ流関節技)も含めてのルチャ、ということに拘りがないはずもない。

それに加えて、いい意味でも悪い意味でもゲレーロは若さを出してくる。そのフレッシュさと、勢いは確かに挑戦アピールした時に決め手にはなったはずだが、戦績が伴わないのもまた若さである。確かに前ヘビー急チャンピオンの鉄生からピンフォールを奪ってはいるが、同じ手をYASUに使えるかといえばそうでもない。

若さという点ではまだYASUも若いのだが、キャリアの積み重ねでだんだん老獪なテクニックも身につけつつある。そこへきてのヒールターンで、これがまたサマになっている。

反則しなくても、強さだけで嫌われるチャンピオンになれるのりしろが見えつつあるのは、正直な若いチャレンジャーには厄介だろう。見た目がベビーフェイスだし、一見するとファイトスタイルに大きな変化が見られないだけに、わかりにくい部分ではあるが、YASUはまだまだ成長しうるチャンピオンなのだ。

そうすると追いかける側としてはいつまでも背中に届きそうで届かない感じになるだろう。プロレスの試合では、自分の切り札をいかに相手より後に出せるかが決め手になる場合が往々にしてある。

この試合ではゲレーロもかなり我慢したと思うが、しびれを切らしたように見えたのはやはりゲレーロだった。そして今のYASUはそれを見逃さない強かさも備えている。

確かにギリギリの攻防だし、今大会のベストバウトがこの試合であることに異論はない。ただ、薄氷の防衛ではなかった。何度もペースをつかみかけながら、ゲレーロに最後まで主導権を渡さずにきたのは、さすがとしかいいようがない。

見た目のベビーフェイスに騙されがちだが、意外とYASUは激選区のがむしゃらジュニアで長期政権を築きそうな予感さえする。もちろん計算しづらい他団体からの刺客がくればまたわからないが、本人がマイクでいったように、「ベルトしかみていなくて、相手がみえていない」チャレンジャーならYASU政権は当分揺るがないだろう。

▼全面対抗戦6人タッグマッチ(30分1本勝負)

×久保希望 & 小川内潤 & 田中純二 vs ハチミツ二郎 & 新井健一郎 & ○KENSO

(18分11秒)

17年前のバトラーツ入門をネタにして、当時の鬼教官・田中純ニにいびられた過去をもつハチミツが純二に復讐アピール。しかし、開始数秒で絞め落とされ、再試合アピールするいつものパターンから試合は再スタート。

実はプロ同士の絡みながら、ハチミツとKENSOがgWoメンバーなんで、急遽?久保がチーム凱になり、純二と小川内が助っ人という形になった。

試合の本筋ではないものの、滅多に見られないシークレットベース(小川内)対ドラゲー(アラケン)の対決や、昨年来の対決になる久保とKENSOの対決など見どころもたくさん。

しかしどんな会場でもKENSOのモーションは大きくてわかりやすい。それでいて破壊力もあるから、本当に厄介である。全日だけでなく、おそらくDDTでもKENSOはKENSOのままだろう。それが通用するからすごい。やはり世界をまたにかけてきた男は一味もふた味もちがう。

最近肉体改造をはじめている久保にしてみれば、その過渡期でスーパーヘビー級の技をくらうことはさぞかし大変だったと思う。まあ、結果はKENSOの圧勝だったが、以前に比べると爪痕は残せていると思う。あとは結果だすだけだ。

▼GWA ヘビー級選手権試合(60分1本勝負)

⑩[挑戦者]○陽樹(TEAM凱) vs ×林祥弘(GWO)[王者]

(19分05秒)

実は前日のパーティで殿に強烈な激励を受けた陽樹。これで気合いが入らねばレスラーではない。一方の林は初防衛にして、芸術劇場二度目のメイン。だが、前回は挑戦者でありながら敗北を喫して会場をあとにした。

ときは移り今度は林が王者になり、しかもヒールとして受けて立つ側になってはいるのだが、そんな余裕は微塵も感じられなかった。

まあ、スミス以降の王者って余裕もって試合するようなタイプは皆無だったし、生真面目な林がナーバスにならざるをえないほど、陽樹が強敵なのは間違いないだろう。

試合は林が腕狙い、陽樹が足狙いと一点集中攻撃のオンパレード。特に林の執拗なキーロックと何度も腕を伸ばした腕ひしぎ十字はあわやセコンドがタオル投入か?とヒヤヒヤするくらいかなりヤバイ決まり方をしていた。

そこまで腕を狙われながら足殺しを徹底した陽樹もまた見事!たぶん会場では場所によっては見えにくい席もあったので、映像で改めて見返したいくらい完成度の高い攻防であった。

正直大会場のメインにふさわしい素晴らしい試合であったし、どちらからも意地でも負けたくない気持ちは伝わってきた。

しかし、せめても攻めてもギブアップしない陽樹に焦ったのか?先に決め技のファルコンアローを繰り出したのは王者・林だった。たぶんプロレスで根負けした瞬間があるとしたら、こういう場合がそれにあたるのだろう。

逆にそれを返した陽樹は、更に足攻めに出てきた。これで林が、全体的にがくっと切れた感じがした。スミス戦でもそうだったが、林は緊張の糸がキレる瞬間がわかりやすい。明らかに動きが変わるからだ。

とにかく終始一貫して足ねらいにいき、林との我慢比べに勝った陽樹がこの試合では一枚上手だったと思う。陽樹にしてもかつて鉄生に挑戦し破れている。林にも負けられない理由があったけど、陽樹にしても負けられない闘いだったのだ。

試合はチーム凱4勝、gWo4勝のタイに終わり全面対抗戦は痛み分け。これに異を唱えたスミスが「負けてないから!」と捨てぜりふを残し、遺恨は次回2月大会に持ち越しになった。

注文つけた割にはいやにあっさりgWoが引き下がったが、この続きは来年2月のgWo興行と、4月のチーム凱興行の出来で勝負ということになった。どっちが面白いかという点ではかなり面白いアイディアだと思う。数字で割り切れない部分まで勝負の対象になるということは、よりハイクオリティな大会になることは間違いないだろう。

たいがい離合集散する年末のビッグマッチで珍しく両チームとも越年という形にはなったけど、これも新しい試みかもしれない。だんだんプロレスという新しい強敵も現れたし、来年はどうなるのかとても楽しみである。

-プロレス観戦記