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[プロレス観戦記復刻版] FMWニューイヤージェネレーション98'第三戦・山口県防府大会

2020/05/29

FMWニューイヤージェネレーション98'第三戦・山口県防府大会(1998年2月10日 防府市スポーツセンター:観衆・1700人)

年末年始にかけてずっと仕事だったので、なんか心のゆとりが欲しくなって防府まで。防府市スポーツセンターはFMWが定期的にやってきていて、今年も開催された。今のところ山口県ではFMWを唯一生観戦できる会場。しかし下関からだと下道で片道約2時間。仕事終わりで高速に乗ったものの、到着は30分遅れ。しかし、インディ時間が発動したせいか?これから第一試合がはじまるところだった。

先のチーム悪と冬木軍の合体によって結成された、チーム・ノーリスペクトの誕生により、当初発表されたカードが大幅変更。これも「行こう」と思わせたきっかけだった。

だが、防府市スポーツセンターは土禁の会場。スリッパを履いていても足元から冷える真冬の寒さの中観戦するのは至難といってもいい。この日も外は霙だったし、決して温かいわけではなかった。FMWについては、毎年狙ったように冬場に来るのは本当に勘弁してほしいものだ。

第一試合:〇黒田哲弘(6分15秒 逆片エビ固め)×佐々木 嘉則(現・マンモス佐々木)

昨年12月にデビューしたばかりの佐々木は大相撲転向組。巨体はそれだけで武器になると思うが、いかんせんデビュー2か月では、まだまだプロレスの動きになじんではいない。

カード変更で割を食った黒田は不満そうだったが、それでもきっちりグラウンドにつきあって基本中の基本を佐々木に叩き込んでいく。バタバタした試合が多い印象のあるFMWの中にあっては、意外なくらい地味だけど、しっかりした試合になった。さすが黒田。だてにキャリアは積んでいないという事か。

フィニッシュも新人殺しの逆エビという「らしい」もの。佐々木にとってはこれ以上ないプロの洗礼といった試合になったのではないだろうか?

第二試合:〇中山香里(9分56秒 ラ・マヒストラル)×ミス・モンゴル

先に入場してきたのは中山。モンゴルの入場の番になって流れてきた曲はOFF SPRINGの「COME OUT AND PLAY」。これにのってダンスをしながら、冬木をはじめとしたチーム・ノーリスペクトを伴ってモンゴル入場。金村がマイクを持ち、メインで当たるハヤブサに散々毒づいた後「おら、文句があるんやったら、ブーブーいうてみい!」と会場を煽るが、反応はイマイチ。

そして「勝利の儀式」と称して各メンバーがモンゴルにキスしていくという流れに。ほかのメンバーは軽くキスしていくだけだったが、御大・冬木は濃厚なキスシーンを展開。終わったらモンゴルが恍惚の表情を浮かべていた。ちなみに非道には「新婚だろ?いいのか?」というヤジが飛んでいた。

これで会場のテンションが妙にあがって、試合ももりあがった。しかし勝った中山は終始浮かない表情をしていたのが印象的だった。

第三試合:×フライングキッド市原(10分29秒 神戸ロック)〇大矢剛功

このシリーズから正式に正規軍入りした市原。試合はグラウンド中心のじっくりとした見ごたえのある試合に。しかしこうなると大矢の領分になってしまうため、市原はところどころで空中戦を仕掛けていくが、大矢はするりと自分のペースに試合を戻してしまう。この辺りはレスリングマスターの面目躍如といったところか。

しかし市原も粘る。これだけは食うまいと警戒していたバックドロップは大矢には決めさせない。ならばと大矢は次の手である腕を決めての「神戸ロック」にとって粘る市原からギブアップ勝ち。大矢の懐の深さと引き出しの多さには改めて舌を巻いた。

第四試合:×リッキーフジ(12分27秒 ラリアット→片エビ固め)〇田中正人(現・将斗)

この試合もなぜかグラウンド成分多めの展開に。リッキーのしつこい足殺しと腕攻めに前半の田中はなすすべなしといったありさま。グラウンドの展開になると「新日本」というバックボーンがあるリッキーの独壇場になる。が、田中もただ耐えるだけでなく、もう少しここから切り返していく攻防もみせてほしかった。

若手とはいえ上で使われているのだから、もうそろそろそういう試合ができるようになってもらいたいなと思う。

中盤以降も新日仕込みでなおかつハート道場でも鍛えられたリッキーの一点集中攻撃はとまらない。ミスターヒトさんが見たら喜びそうな試合だなあ。

だが、耐えるだけ耐えた田中も一発の力技ではリッキーに勝る。この一発で逆転できるところに今の田中の成長が感じられるところだと思う。正直青息吐息になるまで追い詰めらられたにもかかわらず、最後は渾身のラリアットでリッキーからカウント3.この一発には田中の打撃技へのこだわりも感じられた。いい試合だった。

ただ、地味な試合が続き過ぎて印象に残りにくかったのもまた事実。伝え方にも問題があるけど、傾向が似通った試合ばかりになってしまうとお客さんも飽きてしまう。このあたりの匙加減は難しいところかもしれない。

第五試合:ザ・グラジエーター&中川浩二&×保坂秀樹(17分13秒 体固め)〇冬木弘道&スーパー・レザー&非道

この試合は誰がどう見たって「バタバタした内容」になるそうなことは予想できる。大型外国人であるグラジとレザーが激突する時点で、察しがつこう。となると重要なのは各チームの司令塔。グラジ側なら中川、レザーサイドなら冬木。果たしてこの司令塔がどう機能してどんな試合をみせてくれるか?

試合を見っていて思ったのは、冬木軍のバランスのよさだった。非道がかき回し、レザーが暴れて、冬木が締めるという風に各々の役割分担がきちんとできている。急造といえば急造タッグなのだが、とてもそんな風にはみえない。さすが冬木の頭脳は大したものである。

自分勝手に暴れているレザーはまだしも、冷静に状況をよくみていた非道は、役割上捕まってしまう事も多かったけど、その分的確に冬木がフォローしていくので決定的なダメージは受けていない。

最後も乱闘になっても、非道はリング上の保坂の動きを見ていた。冬木を追い込んだとみた保坂が、ロープにとんだ習慣を狙ってハイキックを決めた非道。なおかつ場外に出した中川には戻ってこれないようなダメージをあたえた上でのアクションだったので、思わず感心してしまった。結局、この非道のフォローが呼び水になって最後は冬木が保坂をきっちり料理した。

やはり冬木の下についたことで、プロレスのセオリーを教わったのだろう。邪外道同様、非道も化ける要素ありとみたが・・・

第六試合:〇邪道&ミスター雁之助&金村ゆきひろ(16分46秒 片エビ固め)ハヤブサ&新崎人生&×二代目ミスターポーゴ(現・五所川原吾作)

人生のテーマ曲「YAMATO PART1」にのせて、人生を先頭にハヤブサ、ポーゴが入場。ハヤブサ&人生が全日本にあがったからいうわけではないが、彼らが入ってきた時点でメジャー感がある。

対するノーリスペクトはお下劣ダンス(註:のちのブリブラダンス)で入場。特筆すべきは通常冬木がやる司令塔の役を邪道がこなしていたことで、自分勝手に暴れ回る金村はともかく、雁之助が状況をしっかりみて試合をしていたことだった。

試合が始まってみると終始ノーリスペクトペースになったのも、やはり司令塔の邪道がちゃんと機能していた点が大きかっただろう。さすがWARから冬木と行動を共にしてきただけのことはある。

とおいうことで最初から最後までペースをつかめなかった正規軍はあえなく敗退。「お前らこの辺にしといてやるからな!」と、なぜか勝ったのに、負けた悪役みたいな捨て台詞を残して去っていった金村。一方で、負けて意気消沈するハヤブサたちを、リング周辺を観客が囲む。これは大仁田時代から続くFMWの風習だが、正直もういいかなと思うときがある。

特にこうしたいいところがなかった試合の場合、締めのセリフをいうのもはばかられる気がしたからだ。それでも律義に観客に応対するハヤブサの姿を見ていてなんだかとても悲しい気分になった。そこまでしなくてもいいのに・・・

結局、終わってみればFMWは冬木たちに庇を貸して母屋を乗っ取られた状態になってしまった。これは非常事態と言わざるを得ないだろう。さてこの勢いを食い止めることができるのだろうか?

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